ビジョン/背景(Vision/Background)

ESGインベストメント合同会社では、以下の事業コンセプトを推進する。
経済的利益を追求すると同時に、貧困や飢餓、乳幼児死亡、男女差別、環境破壊といったおもに開発途上国の社会的問題の解決を目指すところを特徴としたベンチャー企業に対する支援業務を中心に据える。
従来の途上国支援は寄付や政府開発援助(ODA)が主流で、いずれも単発(短期間)で終わる場合が多く、長く援助を続けることが課題となっていた。
世界が貧富の格差問題、ボーダーレス化する地球環境問題や企業経営のグローバル化に伴う様々な課題に直面する中で、企業への投資は、短期的ではなく長期的な収益向上の観点とともに、持続可能となるような国際社会づくりに貢献するESGの視点を重視した世界的な潮流の中で、ESGインベストメント合同会社は、企業活動を垂直統合と水平統合を柔軟に横断しながら推進していく。

ESG投資によく似た概念として、SRI投資(後述)が社会(S)や環境(E)を意識した投資という印象が強いのに対し、ESG投資は従来の財務情報やSRI投資に加え、企業統治(G)の要素も加味することで、複合的な企業の持続的成長の可能性をも含まれている。
  • 環境(Environment)では、二酸化炭素の排出量削減や化学物質の管理、
  • 社会(Social)では、人権問題への対応や地域社会での貢献活動、
  • 企業統治(Governance)ではコンプライアンスのあり方、社外取締役の独立性、情報開示
などを重視する。
重要なのは、弊社のビジョンに示した通り、単なる社会貢献の『慈善活動』に留まらず、事業全体をビジネスモデル化、または、システム定義化し、リデザインを行った上で、確実な対価を得ていく『利益獲得』をマネージメントしていくことである。

また「日本版スチュワードシップ・コード(責任ある機関投資家)」に遵守した活動と積極的な関与を推進し、下記の6つの観点でコンサルティング事業・投資活動を推進していく。
  1. 価値観(企業理念やビジョン等、自社の方向・戦略を決定する判断軸)
  2. ビジネスモデル(事業を通じて顧客・社会に価値を提供し、持続的な企業価値につなげる仕組み)
  3. 持続可能性・成長性(ビジネスモデルが持続し、成長性を保つための重要事項、ESGやリスク等)
  4. 戦略(競争優位を支える経営資源や無形資産等を維持・強化し、事業ポートフォリオを最適化する方策等)
  5. 成果と重要な成果指標(財務パフォーマンスや戦略遂行のKPI等)
  6. ガバナンス
なお、2015年9月には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が PRI(Principles for Responsible Investment: 責任投資原則)への署名を発表した。
PRIとは2006年発足当時の国連事務総長であるコフィー・アナン氏が各国金融業界に向けて提唱したイニシアティブであり、機関投資家の投資意思決定プロセスに受託者責任の範囲内として『ESG』の視点を反映させるべきとしたガイドラインである。
これを受けて日本でも『ESG投資』への関心が高まっている。

こうしたなか、日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、下記3つの『ESG指数』を選定し、同指数に連動する運用を開始したことを明らかにした。
  • 女性の雇用や管理職比率などを評価し投資するテーマ型指数の『MSCI日本株女性活躍指数(WIN)』
  • 環境や企業統治などに優れた企業に投資する総合型指数の『FTSEブロッサムジャパン(FTSE Blossom Japan Index)』
  • 『MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ(MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数)』
テーマ型の「環境」指数は継続審査中としており、今後、具体的な発表があると予測されている。

SRI(Socially responsible investment;社会的責任投資)は、従来の投資判断基準である財務内容(目に見える価値)に加えて、その企業が「CSR(企業の社会的責任)を積極的に果たしているか」を判断材料として行なう投資方法であり、歴史的背景から、責任投資(RI: Responsible Investment)と持続可能な投資(SI: Sustainability Investment)を融合した投資ファンドなどとも呼ばれており、SRI投資は1920年代に投資スポンサーが宗教上の教義に反するギャンブルやタバコ、アルコールなどを取り扱う企業を投資対象から除外したことがその起源とされているが、その後は環境・社会・ガバナンスに対する問題意識がグローバルに高まる中で、2006年4月に国際連合が前述のPRI を立ち上げたことで、非財務情報を考慮した投資の重要性が広く認識されるに至っている。
SRI(社会的責任投資)とCSR(企業の社会的責任)を発展的に統合した考え方に基づき、個別企業の株主として指名委員会にて取締役の選任・解任を務めることや、ガバナンスや倫理的な問題、汚職の有無を監視するなど、直接的な関与も実施していく。
『国際連合』が2006年、投資家がとるべき行動として責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)を打ち出し、ESGの観点から投資するよう提唱したため、欧米の機関投資家を中心に企業の投資価値を測る新しい評価項目として関心を集めるようになった。
従来の社会的責任投資(SRI)が環境保護などに優れた企業を投資家が応援しようという発想だったのに対し『ESG投資』は環境、社会、企業統治を重視することが結局は『企業の持続的成長』や『中長期的収益』につながり、財務諸表などからはみえにくいリスクを排除できるとの発想がある。

『国際連合』の責任投資原則に署名した資産運用機関は、2012年12月時点で『1100』を超えており(日本は『24』)、その運用資産は、”32兆ドル”に達している。また、ESGに適合した企業かどうかを指標化するスコアリング基準づくりも進んでいる。
GSIA*がまとめている『Global Sustainable Investment Review 2016』によると、全世界における『ESG投資(サステナブル投資)』の残高は、2016年に約22.8兆ドルとなり『全運用資産残高に占める割合は26.3%まで拡大、ヨーロッパにおいては過半数を占めるまでに発展している。
一方、日本における投資残高は0.5兆ドル、国内の全運用資産残高に占める『ESG投資』の残高は3.4%となっている。国内におけるESG 投資に関する認知度・関心は高まっているものの、実際の投資については本格化しているとは言えない。
『地球環境問題』や『社会問題(教育格差・貧困等)』 『人権・女性権利』が今後さらに深刻化する可能性や、ESG情報開示に関する取組が拡大していることを勘案すると、グローバルに『ESG投資』は今後ますます浸透していくと考えられる。
一方、国内では、冒頭に述べたとおり『ESG投資』への注目は大きく高まっているが、海外との比較ではまだ投資は限定的であり、今後の発展が期待される。

ESG投資の7つのアプローチ
  1. ネガティブ・スクリーニング:ESGの観点で問題のある企業を投資対象から除外する
  2. ポジティブ・スクリーニング:ESG評価の高い企業のみを投資対象として組み入れる、または投資比率 を高める
  3. 規範に基づくネガティブ・スクリーニング:国連グローバル・コンパクト(UNGC)等の国際的な規範に反する企業を投 資対象から除外す
  4. インテグレーション:ビジネス・モデルや財務指標の分析だけでなく、ESGの分析も投資意思 決定プロセスに組み込むる
  5. エンゲージメント:投資先企業との対話や議決権行使等を通じて、ESGへの取り組みを促す など企業行動に影響を与える
  6. テーマ投資:持続可能性に関する特定のテーマ(気候変動・食糧・農業・水資源・エネ ルギーなど)に投資する
  7. インパクト投資:社会問題や環境問題に対して、地域開発プロジェクトやマイクロファイ ナスなどを通じて、より直接的な解決を目指す
ESG投資の特徴といえるのが、各種アプローチ手法を用いたことによるリスクの抑制である。
これはSRI投資にも共通しており、環境や社会的なリスクを潜在的にもつ企業を事前に排除することで、リスク管理の有効性が高められる。
このリスク抑制の観点に、ガバナンス(企業統治(G))の高まりというポジティブな要素が加わることで『ESG投資』は長期的に良好なパフォーマンスが期待されていると言われている。

『GSIA』は、Global Sustainable Investment Allianceの頭文字をとった略称で、環境保護や社会問題などへの取り組みを考慮して、企業向け投資の可否を決める持続可能な投資(SI:Sustainable Investment、サステイナブル投資)を普及するための国際組織。
日本では世界持続可能投資連合という『JSIF』(日本サステナブル投資フォーラム)という団体があり、欧米で積極的に行われている社会的責任投資(SRI)、ESG投資を、日本で普及・発展させる活動を行っている。2016年9月に「社会的責任投資フォーラム」から改称された。

また、ロックフェラー財団主導で2010年に設立された国際組織『 GIIN』グローバル・インパクト・インベスティング・ネットワーク;Global Impact Investing Networkはインパクト投資の社会貢献効果と経済的効果を公平に評価する格付けづくりに乗り出しており、所得の向上、乳幼児死亡率の低下、女性の就業率向上などを評価の目安とする『IRIS』インパクト・レポーティング・アンド・インベストメント・スタンダード;Impact Reporting and Investment Standardsなどの指標も生まれている。
インパクト投資以外にも、社会的責任投資(SRI)、マイクロファイナンス、ESG(環境・社会・ガバナンス)目標などといった類似の概念があり、それぞれ概念の定義は厳密ではなく、互いに重複する金融行動が含まれている。

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