ついに「VR元年」到来か?これからの動画マーケティングを変える可能性を秘めるVRの最前線に迫る

ロケット発射時の強烈なGから開放されると、そこには宇宙空間が広がっていた……。
世界初のVRジェットコースターが2016年4月、英国のテーマパークAlton Towersに登場します。乗客が装着したHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の中の映像がジェットコースターの加速・落下・螺旋運動と連動することで、よりリアルなヴァーチャル宇宙体験ができるというもの。いわば「宇宙に舞い上がる」ジェットコースターです。 

 

実は1980年代後半から90年代初めにかけて、ゲームの世界を中心にVRが盛り上がりを見せました。しかし当時はグラフィック技術やテクノロジーの未熟さ故、「高価なおもちゃ」以上の評価を受けることもなく、いつの間にか消えていきました。

しかし今、技術は大きく進化し、スマートフォンをディスプレイ代わりに使用するヘッドマウントディスプレイ(HMD)が登場したことで、エンターテインメントの分野ばかりでなく、さまざまな業態・分野でVRが活用され始めています。

拡大を続けるVR市場

仮想現実(VR)と拡張現実(AR)を合わせた市場規模は、2016年に約50億ドルに達し、2020年には1500億ドルを超える――英国の投資銀行Digi-Capitalはこのような調査レポートを発表しました。

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画像参照元:http://www.digi-capital.com/news/2015/04/augmentedvirtual-reality-to-hit-150-billion-disrupting-mobile-by-2020/#.VvkH7hKLSCQ

その予測を裏付けるように、日本市場におけるAV機器の販売動向を探る2016年1月の調査では、「いま注目しているAV関連のトピック、製品」として、「Oculus RiftなどのVR製品/コンテンツ」を挙げる人が25.7%に上っています。1年前はわずか7.2%に過ぎず、VRへの関心が日本でも急速に高まっていることが分かります。

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画像参照元:http://av.watch.impress.co.jp/docs/enq/result/20160205_742167.html

またVRの隆盛は、安価で高性能なHMDの普及にも支えられています。
サムスン電子の「Gear VR」、Facebook傘下のオキュラスが予約受付を開始した「Oculus Rift」、今年10月の発売が明らかとなったソニー・コンピュータ・エンターテインメントの「PlayStation VR」など、数万円台で購入できるHMDが続々登場しています。

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画像参照元:左からhttp://www.samsung.com/global/galaxy/wearables/gear-vr/、
https://www.oculus.com/en-us/rift/、http://www.jp.playstation.com/psvr/

VRが活躍する4つの分野

VRはHMDで映し出される「仮想現実」を、視覚を通して疑似体験する技術です。その特性から、ゲームやテーマパークなどのエンターテインメント分野での活用がクローズアップされがちですが、実はさまざまなビジネス分野で現在活用されています。その中から4つの分野の事例を見ていきましょう。

設計・製造分野

「建築設計」「デザイン評価」「都市整備事業」「製造工場ライン設計」などでは、生産性向上を狙うと同時に、クライアントや顧客へのプレゼンテーションとしてVR技術が活用されています。
例えばPanasonicの「環境計画支援VR」は都市計画整備事業における設計に、三菱重工の「3DVRシステム」は自動車・航空機のエンジン設計などの分野で活躍しています。

もちろん、このようなインフラ事業ばかりでなく、個人レベルの建築・設計分野でもVRは活用されています。
例えばコスモスイニシアの「ハコマンションVR」では、物件内覧や資料請求をした人に対し、自宅で「ヴァーチャル内覧」できるVRコンテンツとGoogle Cardboard(ダンボール製HMD)を提供。その他にも実寸大の住宅空間を体感できるヴァーチャル住宅展示場サービス「ALTA for VR」など、VRを活かしたサービスが次々と登場しています。 

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画像参照元:https://www.cstnet.co.jp/archi/products/alta_vr/

インテリア分野

インテリアデザインを手掛けるPencil+Pixel社がβ版として公開しているサービス「Modsy」では、ユーザーが撮影した自室の写真数枚を同社に送ると、数日後に同社が提案するインテリアデザインを施された部屋をVRで見ることができます。VRの中に配置された家具などの購入先情報までも含まれており、ユーザーは室内に配置したイメージを確認しながら購入を検討できるという画期的なサービスです。

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画像参照元:https://www.modsy.com/

また、家具やインテリアをリアルタイムで自室に配置した動画が観たい、というニーズに応えているのがポーランドの3Dシミュレーターサービス「intiaro」です。

 

これは厳密にいうとAR(拡張現実)のプラットフォームですが、このようなテクノロジーは、単価の高い商材を扱う企業や、BtoB向けのビジネスを展開する企業のマーケティング施策として大きな可能性を秘めているのではないでしょうか。

教育分野

教育分野では、生徒・学生を対象とした学校教育プログラムや、原子力分野・建設現場での作業教育プログラム、航空機パイロット訓練や電車の運転士養成のためのシミュレーターなど、幅広い分野でVRが活躍しています。

あるいは、企業による啓蒙キャンペーンにもVRは活用されています。Toyotaが2015年に米国で行ったキャンペーン「TeenDrive365」では、よそ見運転の危険性と怖さをVRを使って教えています。

また、2016年2月に玩具メーカーMattel社から発売されたVRゴーグル「View-Master Virtual Reality」では、子どもが自宅にいながら宇宙や世界の名所、大自然などを体験学習できるソフトが用意されました。ゴーグル本体価格も29.99ドルと手頃で、Amazonでのレビュー評価も高い人気商品になっています。

 

医療分野

米国ケンタッキー州にあるルイスビル大学では、社会不安・会話恐怖症・高所恐怖症などの患者の認知行動療法にVRによる診療プログラムを取り入れ、効果を上げているそうです。また、医学論文誌「Frontiers in Neuroscience」2014年度版には、手足を失った人の幻肢痛の治療にVRを活用している事例が紹介されています。

そして現在、実用化が進んでいるのが、手術トレーニング用VRです。特に、従来の開腹手術とは異なる特殊な技能が必要とされる「内視鏡手術」「血管カテーテル治療」などは、これまで実際の手術現場以外での技能訓練の場がありませんでした。その教育・トレーニングをVRで行えるシステムが開発され、世界中の医療現場で採用されています。

 

MRが見せる、リアルとデジタルが融合する世界

デジタル技術、IT技術の進化は私たちに「新しい世界」を体験させてくれます。
それは、見える世界を100%デジタル情報で作った仮想現実=VRばかりでなく、現実世界にデジタル情報で作ったモノ・コトを付加するAR(Augmented Reality:拡張現実)、そして現実空間と仮想現実をリアルタイムで融合させるMR(Mixed Reality:複合現実)へと広がっています。

VRが「閉じられたデジタル世界」だとすれば、ARは「現実を拡張する開かれたデジタル世界」です。どちらの技術も、ビジネスの在り方を大きく変えるインパクトを持っています。
さらに、この「閉じられた世界」と「開かれた世界」をリアルタイムで融合させるMRの技術が発展すれば、これまでになかったまったく新しいコミュニケーションやビジネスが実現することでしょう。例えば、遠く離れた地にいる顧客に新商品を仮想体験してもらうことも、もはや夢ではないのです。

 

 YouTubeやFacebookが360°動画に対応したのが昨年のことですが、すでに多くの企業が動画マーケティングに360°動画を取り入れ、日常的な存在になりつつあります。

その先にあるVRも今回ご紹介したように、デバイスが普及し、活用方法が日々生み出されることで、近い将来、身近なコンテンツになることでしょう。最先端を行く米国ではすでにVR広告の開発も行われています。

動画マーケティングを大きく変える可能性を秘めるVRの動向から目が離せません。



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