CRM領域で「動画メール」の価値を最大化させる方法――ポイントは“ファネル”と“自動再生”
「広告だけじゃない、CRMも見据えた動画メールの活用法」と題したプレゼンテーションを展開したのは、エクスペリアンジャパン株式会社のエバンジェリスト、吉澤和之氏。
CRM領域で動画メールを活用する際に理解しておくべき設計方法から、実際に高い効果を上げた事例の数々まで、役立つノウハウが詰まったプレゼンテーションの模様をお届けします。
CRM特有のファネル構造を意識した動画コンテンツ
まず前段として、広告とCRMの違いをおさらいしておきます。
広告とは一般的には、初対面の人、もしくは少しだけ知っている人に対して、自分たちのことを知ってもらうためのコミュニケーションと言えます。
これに対して、CRMの対象は既存顧客です。そして一言で顧客といっても、状況や関係性によって5段階のファネルに分解することができます。
人間関係でも、例えば恋人、親しい友人、最近できた友人、顔見知り、過去の友人などに分けることができますが、CRM領域に当てはめると右図のようになります。
そしてこれらのファネルの段階に応じて、動画で訴求する内容も下記のように変わってきます。
このようにターゲットに合わせて制作された動画コンテンツの違いを、各社の動画事例から具体的に見てみましょう。
●リピーター向け(Has Bean Coffee)
コーヒーを定期購入できるHas Bean Coffeeでは、ブランドや商品に対してエンゲージメントの高い大切なリピーター顧客に良質な情報を届けるために、社長自らがコーヒーに関するマニアックな情報や関連ニュースを届ける動画を定期配信。
もっとコーヒーのことを深く知りたいという優良顧客のインサイトに応えるコンテンツ。
●ビジター向け(タイムズカープラス)
カーシェアリングサービスを提供するタイムズカープラスでは、利用契約して間もないユーザーは新しい車種の鍵の置き場所やエンジンの掛け方などが分からないと考え、鍵の開け方など、シーンごとに使い方を細かく解説する動画を多数配信。気軽に利用してほしいと考える企業と、使い方を知りたいというユーザー側のニーズがマッチしている。
●スリープユーザー向け(マクドナルド)
さまざまなウワサを耳にして離れてしまったユーザーに対して、マクドナルドは自社の取り組みや現場のリアルな姿を動画を通して見せることで安心感を与えている。このような情報はロイヤルカスタマーに対してももちろん有効だが、あくまで主目的は離れてしまったスリープユーザーにまた店舗に足を運んでもらうこと。
このように、目的に応じてコンテンツの内容はまったく変わってきます。
「『どの対象にどんなアプローチをして、どんな行動をとらせたいか?』をまず考えることが重要です。上記5つのファネルに対して、どのような動画をどのような企画・構成で伝えていくかをきちんと設計していきましょう」(吉澤氏)
動画メールマーケティングを活用したCRM
それではいよいよ本題である動画メールへの応用です。CRM領域において、メールやメールマガジンは重要なコミュニケーションチャネルの1つです。CRM特有のファネルに応じて制作した動画をメールで配信するメリットやKPIの考え方を解説していきます。
「動画×メルマガ」の3つのメリット
CRM目的の動画メールのメリットとして次の3点が挙げられました。
メリット1. 圧倒的な情報量と記憶定着力
movieTIMESでもたびたびお伝えしているように、動画には、テキストや画像をはるかに超える情報伝達量と、それに伴う記憶定着効果があります。
メリット2. 省スペースでのアテンション効果
メールマガジンでは、ファーストビューでいかにアテンションを引くかが重要です。受信者はメール開封後1秒足らずで最後まで目を通すかを判断するため、アイキャッチ効果が高く、多くの情報を伝えられる動画は、ファーストビューで非常に有効と言えます。
ここで吉澤氏は、先述のタイムズカープラスの動画を例に挙げて、具体的に比較して見せました。
上図の通り、テキストだけでは情報が十分ではありません。画像に置き換えると分かりやすくなるものの、多くのスペースをとってします。これに対し、動画を使うと1つ分のスペースで分かりやすく伝えることができることは明らかです。
また上述の通り、ファーストビューでアテンションを引くためには動画の「自動再生」が必須であり、さまざまなデバイスやメーラーで自動再生に対応していることがエクスペリアンの動画メールの強みだと吉澤氏は強調しました。
メリット3. 目的に応じた使い分け
そして3つ目のメリットが、ブランディング、コンバージョン獲得、売上UPなど、目的に応じて適切な効果を発揮するという点です。
サービスをローンチしてから約1年ですが、すでにさまざまな実績からセオリーが見えてきていると語る吉澤氏。動画メールで見るべき効果指標として「興味喚起」「CTR」「直帰率」「CVR」が挙げられました。
「どの指標をKPIにするかは、各社の設計次第です。動画メールで何を達成したいのかを明確にした上で、KPIの数値を追っていくことが大切です」(吉澤氏)
適切な動画メールの設計で成果を残した事例
次に、それぞれの目的に対して高い効果を上げた動画メール事例の数々が紹介されました。3つ抜粋してご紹介しましょう。
Case Study 1
分野:Eコマース
目的:CVR(購入率)改善
ファッションビジネスを手がけるMARK STYLERはサマーセール開始日にメールを配信。動画メールと画像メールでABテストを実施したところ、ブランドの世界観を表現した動画とそのあとに続くセール情報の訴求という構成が奏功し、動画メールの方がCVR5倍、売上2倍という高い成果を残した。
また本事例の特徴が、メール配信の3~4日後のCVRが高かった点。「動画が記憶に残っていたことで、配信直後だけではなく、数日後のCVをもたらしたと推測されます」(吉澤氏)
Case Study 2
分野:ブランディング
目的:直帰率改善、CVRアップ
ゴルフダイジェスト・オンラインは、ゴルフウェアブランドのブランディング動画をメールで配信。遷移先であるサイトへの期待が高まったことで、直帰率が改善。この事例ではCVR改善にも貢献した。
「ブランディング動画が直帰率や回遊率の改善に有効であることは過去の実績でも明らかになっています」(吉澤氏)
Case Study 3
分野:BtoB企業
目的:CTR向上
動画制作会社が年賀状メールに動画を活用。ギミックを用いたユニークな動画で26.6%という驚異的なクリック率を記録している。
「CTRは動画のクオリティに連動します。思わずクリックしたくなるような工夫や仕掛けがポイントです」(吉澤氏)
これからの動画メールは「パーソナライズド動画」
動画自体をOne to Oneにできる「パーソナライズド動画」も昨年頃から日本でも注目されていますが、これをメールマーケティングに取り入れることで、より質の高いCRMへとつながります。BtoB、BtoCを問わず、さまざまな業界で応用できるパーソナライズド動画はCRMだけでなく動画広告などさまざまなチャネルでの展開が期待されています。
「我々エクスペリアンでは、今年はCRMでの動画メール活用について積極的に啓蒙活動を行っていきます。そしてその先にある、パーソナライズド動画を使ったOne to Oneマーケティングを目指していきたいと考えています。
まだまだ皆さん動画の活用といえばアドネットワークやコマーシャル動画を思い浮かべるかもしれませんが、今後動画マーケティングの世界では、確実にCRMにおける動画活用がキーワードになってくるはずです。時流に乗り遅れないうちに、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか」(吉澤氏)
from movieTIMES ムービータイムス http://www.movie-times.tv/feature/8686/
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