イランのデモがいつもと違う5つの理由

今回のイランのデモは、単発的なもので、暗号化チャット・アプリ「テレグラム」などによって火に油が注がれた面もあるので、いずれ鎮静化する性質のものかも知れません。

しかしデモのニュアンスは(ちょっといつもと違うぞ)と感じさせるものがあります。

【最高指導者ハメネイ師退陣要求】
まず市民の第一の要求が最高指導者ハメネイ師の退陣を要求している点です。最高指導者に対する批判は不敬罪に相当し死刑になる犯罪であり、それを市民が平然と叫んでいるところから判断し、市民は政府を恐れていない様子が伝わってきます。

【米国傀儡政権時代へのノスタルジア】
第二にモハンマド・レザー・シャー・パーレビ皇帝に対するノスタルジアが出ている点です。レザー・シャーはイランの近代化、西欧化を推進した人としてなつかしがられています。

実際、1979年にイラン革命が起きる前は、テヘランは「ロスアンゼルス・イースト」という愛称が付けられ、女性も下の写真に見られるような、アメリカ的なファッションでした。

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【イスラム共和制への幻滅】
三番目のポイントとして、今回、デモ行進をしている市民は口々に「イスラム共和制(Islamic republic)国家は、もういらない。民主主義を!」と叫んでいる点が指摘できます。1979年のイラン革命の際は、民主主義を犠牲にしてまでも伝統に基づく治世を人々が望んだのに対し、今回はそれと正反対の要求になっているわけです。

【聖地ですらデモ】
これまでのイランのデモはイランの中に住むマイノリティーなどが中心となって行われるケースが多かったです。しかし今回は聖地イマーム・レザ聖堂の所在地で、保守的なことで知られるマシュハドなどの町でもデモが起きています。これは、たとえて言えばバチカンでキリスト教反対デモが起こるような塩梅であり、嫌でも目につきます。

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【イスラム革命防衛隊のリーダーですらdisられている】
イスラム革命防衛隊の特殊部隊クッズフォース(Quds Force)の総司令官であり、トップ・スパイであるカシム・スレイマニ将軍についても群衆から「スレイマニに死を!」というスローガンが出ています。スレイマニ将軍は、これまで民衆から尊敬を集めてきたキャリア軍人なので、これは異例なことです。



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