ファーウェイ「Harmony OS」採用のソーシャルスマホが誕生するのか:山根博士のスマホよもやま話

米中貿易摩擦の影響によりネットワーク製品だけではなくスマートフォンの開発にも大きな支障を受けたファーウェイが、自社開発OSとしてHarmony OSを発表しました。 この独自OSを自社スマートフォンすべてに展開するとは考えられませんが、スマートフォンを中心としたファーウェイ製品のエコシステムを拡大していく中で、重要なポジションを握る存在になることは確かです。 関連記事: ファーウェイ、Android代替の『Harmony OS』発表。「世界に調和をもたらす」OSとアピール Harmony OS搭載の最初の製品はスマートフォンではなくスマートTVでした。ファーウェイのサブブランドHonorから登場した「Honor Smart TV」は55インチ型4Kディスプレイモデル。CPUにはスマートTV向けのハイシリコン製「Honghu 818」を搭載、そしてHarmony OS 1.0を採用しています。 スマートフォンへのHarmony OSの搭載は、対応アプリを考えると難しいと思う人が多いかもしれません。第3のOSとして登場したいくつかのOSがいずれも事実上撤退した歴史を振り返ってみても、スマートフォンはアプリがあってはじめて使えるものであり、アプリの対応が少ないOSを採用するスマートフォンに消費者は興味を示さないでしょう。 サムスンのTizenも現在はスマート家電やスマートウォッチ向けのみに展開しています。こういったジャンルの製品であれば、Android OSを搭載しなければならないほどの機能も必要なく、Android OSのスマートフォンやタブレットとの連携がシームレスに行われるのであれば、何のOSが動いているかを消費者が気にする必要はないのです。 Android OSを採用するメリットは、アプリ開発者が多く対応アプリが増えることですが、スマートウォッチに後からアプリを次々に入れて何かしよう、と考える人はいまや多くはないでしょう。 とはいえ時代は大きく変わっています。中国を見てみれば、スマートフォンユーザーの多くがWeChatを使っており、さらにそのWeChat内で動かせるミニプログラムの利用者が圧倒的に増えているのです。 ミニプログラムとはWeChatを起動して、さらにその中で起動できるアプリ。つまりWeChatさえ起動してしまえば、あとはスマートフォンのOSは無関係で利用できます。 すでにミニプログラムの数は100万を超えています。しかも生活に根付いたものが多く、利用頻度が高いことも特徴。一方で、アプリサイズを大きくできないので、高度なゲームなどは用意されていません。 しかし日常的にスマートフォンを使うのであれば、ゲームはゲームで別途ダウンロードして、あとはWeChat内で情報検索から日々の支払いまでほとんどのことを済ませることができてしまいます。 中国国内販売のスマートフォンにはGoogleのアプリストアが搭載されないため、スマートフォンメーカー各社が独自のアプリストアを展開しています。しかしWeChatのミニプログラムの台頭は、自社のアプリストアからのアプリダウンロードを減らすライバルになりつつあります。そこで中国の大手スマートフォンメーカーは共同で「快応用(Quick App)」を立ち上げました。 すなわちメーカー主導によるミニアプリです。各社は快応用の自社スマートフォンへの搭載を進めており、ミニプログラムの展開はスマートフォンメーカーも始めているのです。 Appfiguresの調査によると、2017年末時点でアプリストアに登録されているアプリの数はGoogle Playが360万、AppleのApp Storeが210万。WeChatミニプログラムの100万が無視できない数であることがわかります。仮にファーウェイがHarmony OSのスマートフォンを出したとして、WeChatが動けば100万のアプリがあり、さらに快応用さえ動いてしまえば他のアプリを入れる必要すらなくなるかもしれません。 つまりSNSを中心にミニプログラムを使うスマートフォンユーザー、すなわち多くの消費者にとってHarmon OS搭載の「ソーシャルスマホ」は十分使い物になる存在になるということです。 日本でも「LINE Mini App」の提供がはじまっており、この動きは今後ほかにも広がっていくでしょう。第3のOSが失敗した時とは市場の環境が大きく変わっているのです。 中国のスマートフォンユーザーの数は世界一です。その中国からスマートフォンを使う新しいWEBサービスが次々に生まれ、それが海外展開を進めていけば、WeChatや快応用で使えるミニプログラムとして海外でも使えるようになっていくでしょう。 スマートフォンの画面にはアプリのアイコンが数個しかなく、常にSNSを開いて何かをする、そんな時代がやってくるかもしれません。

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